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1997年アジア通貨危機で為替が大変動!再来した場合の対処方法とは?

成長著しいアジア経済圏は、21世紀の世界をリードしていく存在と言われています。今後ますます政治・軍事・経済全てにおいて、アジアを置いては語れない時代に突入していると言えるでしょう。

飛躍的に成長を続けるアジアですが、かつては深刻な経済危機に直面し行く末に暗雲が立ち込めたこともありました。いわゆる「アジア通貨危機」と呼ばれるものです。

この危機によってアジア各国は甚大なダメージを受け、一部の国は自力での再建が不可能となりIMFの管理下に入らざるを得ませんでした。影響はアジアに止まらず、この余波によってロシア通貨危機、ブラジル通貨危機までをも引き起こし大きな混乱をもたらしました。

機関投資家の仕掛けが発端となった経済危機だったため、当時は個人投資家の多くが損失を被ったと言われています。今後も発生する可能性のある為替の大変動に備えて、過去の経済危機について知っておくことは重要なことです。

この記事では、アジア経済危機がどのように発生したのか、その原因と為替相場への影響度についてご紹介していきます。今後の為替変動への備え方やその際のトレード方法について興味のある人は、ぜひ参考にしてみてください。

アジア経済危機とは

アジア経済危機とは、1997年7月のタイ通貨バーツの暴落に端を発してアジア各国の通貨が下落した一連の経済危機のことを指しています。基本的にはアジア各国の「自国通貨の為替レート急落」を指しますが、広義ではこれによって引き起こされた金融危機までを含む経済危機全般を意味しています。

取り分け深刻な被害を被ったのがタイ・韓国・インドネシアの3か国で、これらは自力での経済再建ができなくなったためIMF(国際通貨基金)へ支援を要請し、その管理下に置かれる事態となりました。震源地となったタイでは、経済が瞬時に崩壊し、相次ぐ企業の倒産・リストラにより失業者が街に溢れかえることとなったのです。

日本は経済恐慌レベルの危機は発生しませんでしたが、相応の経済的ダメージは負うことになりました。東南アジアへの支援金の支出や影響を受けた各国への輸出などで影響が出ています。また、当時バブル崩壊後で内需主導による回復途上であった日本経済は、緊縮財政や消費税増税などの影響もあり、1998年には経済成長は実質マイナスへと転じることになりました。

変動相場制への移行

アジア各国の通貨下落幅は凄まじく、1997年6月末からおよそ半年間で、【インドネシア・ルピア:81%】【タイ・バーツ:56%】【韓国ウォン:55%】【マレーシア・リンギット:46%】【フィリピン・ペソ:42%】と史上最大級の下落幅を記録しています。

この急落が起きるまでは、自国通貨と米ドルの割合を一定に保って為替レートを固定する「ドルペッグ制」をこれらの国々は採用していましたが、急速な下落に対して持ちこたえられなくなり変動相場制への移行を余儀なくされました。

アジア経済危機の原因

アジアでこれほど大規模な経済危機が発生してしまったのは何故なのでしょうか。原因は
「ドルペッグ制」による通貨価値の誤った評価にあります。

ドルペッグ制は先述の通り固定相場制であり、米ドルの価値が上昇すれば自国通貨の価値もそれにつれて上昇していきます。これは自国の経済状況に関係なく上昇していきます。
この不均衡が経済危機となった最も根本的な問題でした。

当時のアメリカ合衆国はクリントン政権の下「強いドル政策」が推し進められており、米ドルは次第に上昇局面へと向かっていました。それにつれて、ドルペッグ制を採用しているアジア各国の通貨も上昇していきます。

しかし、自国通貨高によって輸出が伸び悩み、輸出依存型のアジア各国の経済は低迷するようになりました。加えて、東南アジアから中国本土への投資シフトが起こり始めていることも作用し東南アジアの持続的成長に疑問符が付くようになっていったのです。

この状況に目を付けたのが欧米のヘッジファンドでした。東南アジアの経済事情は思わしくないにもかかわらず通貨価値は上昇している、この為替レートの評価のずれを利用して大規模な空売り攻勢を仕掛けていきます。

最初にターゲットとなったタイでは、それまでのタイ経済システムの基盤であったドルペッグ制を維持するために、米ドル売りバーツ買いを実施してヘッジファンドへ対抗。 しかし、タイ中央銀行は自国通貨を支えきることができず、手持ちの米ドルは消失し万策尽きたところで、1997年7月に変動相場制への移行を決断したのです。この決定日に、バーツは18%もの下落となりました。

この欧米ヘッジファンドによる空売り攻勢はアジア各国でも発生し、アジアからの大規模な資金流出へと発展。各国の経済は崩壊へと向かいました。この影響はアジア外の新興国にまで及び、1998年8月のロシア通貨危機、1999年1月のブラジル通貨危機となって襲い掛かることとなったのです。

アジア経済危機がもたらした為替相場へのインパクト

アジア経済危機が為替相場に与えたインパクトはどの程度だったのでしょうか。と言っても、この事象はそもそもアジア新興国の為替相場暴落に端を発した経済危機でした。

先述しましたが、ドル高政策によって実体経済と乖離した通貨高となっていたアジア新興国通貨は、欧米ヘッジファンドに目を付けられました。インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンの各国はヘッジファンドによる大規模な空売り攻勢に耐えられず変動相場制へ移行。ルピア、バーツ、リンギット、ペソは全て40%以上の大暴落となったのです。インドネシア・ルピアに至っては80%超の下落となりました。

アジア通貨危機は新興国対ヘッジファンドの構図から起こり、自国通貨を防衛する戦いに新興国が敗れ去ったために大きな混乱を招いたのです。1992年のポンド危機も同様の構図であり、経済に対して為替レートが適切であるかどうかは国の将来を左右する要素となることを、アジア通貨危機は教えてくれたと言えるでしょう。

アジア通貨危機が再来したらどうなるか

アジア経済危機は為替の暴落をきっかけとした経済危機でした。再度同様の危機が発生した場合にどのような為替変動が起こるのでしょうか。1997年の事象は、ドルペッグ制による為替相場の歪みをつかれたものでした。しかし、東南アジアでは現在全ての国がドルペッグ制を採用していませんので、同様の心配はないでしょう。

しかし、中国では未だ管理フロート制が導入されており、為替レートは中国当局の管理下にあります。2015年に発生したチャイナショックも中国元の大幅な切り下げが原因でした。さらに、中国は今後変動相場制へ移行する可能性がささやかれています。そうなった場合の市場のインパクトは絶大でしょう。

十分な安全を担保した上での移行なら良いのですが、中国経済の弱体化や大規模な空売り攻勢が仕掛けられたことで変動相場制に移行せざるを得なくなったという状況であれば、深刻な事態が発生する可能性があります。

いずれにしても中国の変動相場制への移行は、今後の為替市場を考える上で避けては通れない問題です。そうなった場合、市場は不安定要素が多いという判断を下す可能性が高いですので、円高になると考えておいて問題ないでしょう。通貨切り下げ、変動相場制への移行を実行した各国通貨のこれまでの傾向から、世界的リスクオフの流れになっていくと考えられます。

機関投資家による大量売買

トレーダーとしての心構えとして覚えておいて欲しいことがあります。ヘッジファンドなど機関投資家による資金の集中投下が起こると個人投資家では太刀打ちすることができません。為替の変動があってから反応しても、頭や尻尾で掴まされて大損するパターンはよくあることです。

なので、安易な飛び乗りは絶対にしないことです。アジア通貨危機のように実体経済と為替レートに明らかな乖離があるなど取引する上での根拠があって乗る分には良いのですが、大きく値が動いているというだけで乗ると大けがをすることにもなりかねません。

必ず、売買する前にエントリーする根拠を持ち、エントリー後のシナリオを作っておくようにしましょう。

まとめ

ここまで、アジア経済危機がどのように発生したのか、その原因と為替相場への影響度についてご紹介してきました。

好景気に沸いていた国でも、一つの経済危機で財政があっという間に崩壊してしまうということがご理解いただけたことと思います。また、欧米のヘッジファンドは新興国を売り崩すだけの破壊力を秘めていることもお分かりいただけたことでしょう。

ドルペッグ制は実体経済と為替レートの歪みが少ないときは投資も呼び込みやすく好景気に寄与したのですが、乖離が大きくなると非常にもろい制度だったということが浮き彫りになりました。

経済と為替レートの整合性は市場経済の基本ですので、この基本的な部分から世界中のレートを見てみるとトレードの仕方にも幅が出てくることでしょう。

アジア通貨危機が再来する可能性は十分にあり、それが中国を震源地とするものであれば影響も凄まじいものとなるでしょう。そうなっても不用意なトレードをすることがないよう、常日頃から世界情勢と経済状況には気を配っていくことをおすすめします。

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