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【チャート比較】イラク戦争・湾岸戦争とISなどの中東情勢不安の為替影響を徹底比較

2017年の世界情勢において、最も地政学的リスクが高い地域の一つが中東です。

イラン・サウジアラビアの関係悪化、トルコ情勢の不透明化、シリア・イエメン情勢の混乱、IS関連の紛争及び紛争終結後の混乱など、列挙しだすときりがないほどのリスクを抱えているのが現在の中東と言えるでしょう。

今なお混沌としている中東ですが、過去においても数々の情勢不安がありそのたびに為替市場は影響を受けてきました。

1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争などはその代表例としてよく知られています。今後さらに不透明さを増していくであろう中東情勢に備える意味でも、過去の事例は参考にしておきたいところです。

この記事では、過去と現在の中東情勢が為替にもたらした影響と、そこから今後の為替レートがどのように推移していくのかを考えていきます。今後トレードをしていく上で中東情勢が気になっている人は、ぜひ参考にしてみてください。

湾岸戦争とイラク戦争が為替相場へもたらしたインパクト

まずは過去に起こった中東情勢から、為替レートの値動きを考えてみましょう。ここでは代表的な1991年の湾岸戦争と2003年のイラク戦争についてご紹介します。

湾岸戦争時の為替レート

湾岸戦争は、クウェートに侵攻した「イラク軍」とクウェートからの即時撤退を求める「多国籍軍」との間で争われた戦争です。

国際連合からの度重なる撤退勧告を無視したイラクに対して、国連安保理は最終の撤退期限を1991年1月15日と定めた「決議678(対イラク武力行使容認決議)」を採択。同年1月17日、多国籍軍によるイラク空爆によって開戦の火ぶたが切って落とされました。

為替相場は開戦直前まで米ドル買いで進んでいましたが、開戦直後から米ドル売りに転じました。

米ドル/円のレートは、開戦直前は1ドル135円台で推移していましたが、開戦してからはドル売りが加速してドル安の局面となります。戦争終結が決定的になった2月中旬まではこの傾向が続き、1米ドル127円まで下落。

開戦前後の1か月間で米ドルは5%下落したことになります。戦争終結が確定するとその後はドル高局面へと移行していきました。

湾岸戦争に伴う一連の為替レートの動きは、為替相場の世界ではよく言われる「有事のドル安」「戦後のドル高」を分かりやすく示す事例だったと言えるでしょう。

イラク戦争時の為替レート

イラク戦争は、イラク武装解除問題に対する義務違反を理由として、アメリカを中心とした有志連合によるイラク侵攻から始まった軍事介入のことを指しています。

2003年3月から始まったイラク戦争は、同年5月にはジョージ・W・ブッシュ大統領によって大規模戦闘終結宣言が出されました。しかし、イラク国内での治安悪化が深刻なものとなったため戦闘はその後も継続し、米軍が完全撤収できたのは2011年の12月でした。

為替相場の方は、湾岸戦争ほどの大きな動きはありませんでした。米ドル/円で言うと、開戦直後は1円ほど円安に動き121円台、その直後は円高に振れましたがそれでも118円台という平時よりは動いていますが、そこまでのインパクトはなかったと言えるかもしれません。

これは、湾岸戦争と違って軍事力が弱体化したイラクにはほとんど抵抗力が残っておらず、短期に集結する公算が強かったことが挙げられます。そのため、開戦直後はそこまで大きな影響はありませんでした。

日本銀行 VS 欧米ヘッジファンド

2003年5月に大規模戦闘終結宣言が出された後も戦闘は継続し、泥沼の様相を呈してきたところから事態が大きく動き始めます。イラク情勢の不安定化による円高を見越したヘッジファンドによって、大量の円買いが仕掛けられたのです。

これによって、1ドル117円前後で安定していた米ドル/円相場は105円台目前まで下落することになります。当初のヘッジファンドの目論見では100円台を大幅に割り込むところまで円を買い浴びせることでしたが、これ以上の円高を阻止したい日本当局の猛反撃が2013年末頃から始まります。

日本銀行は1分間に10億円、1日で1兆4000億円以上とも言われる大規模な円売り攻勢を仕掛けていきます。当初用意されていた30兆円の介入資金が底をつきかけると、今度は財務省に保有されている米国債を売り払って100兆円の介入資金を用意したとも言われています。

ヘッジファンドも長期に渡って円買いを続けましたが、休みなく介入を続けた日銀についに屈し3月上旬に大部分のヘッジファンドが利益を得られず手仕舞いする結果となりました。イギリスやタイ、インドネシアなど多数の中央銀行を切り崩してきたヘッジファンドの攻撃を、日本銀行が打ち破った瞬間でした。

この一連の攻防により、2000社のヘッジファンドが倒産したとも言われています。自殺者・行方不明者も多数出たと伝わる戦いは日銀勝利で幕を閉じることとなりました。

為替相場と言う戦場で非常に激しい戦いが繰り広げられたわけですが、リスクオフの流れになった時に安全資産の円が買われやすいという傾向は、湾岸戦争やイラク戦争の事例でも分かる通り20年以上前から存在していたということです。

また、加熱する円高に対しての日銀の対応は容赦のないものであり、市場介入の可能性は意識しながらトレードをしていないと予期しない損失を被ることになることも教訓として覚えておきましょう。

近年の中東情勢と為替相場の関係性

中東情勢は近年も非常に不安定な状態が続いており、地政学リスクは高まり続けています。その中でも代表的なものをいくつかご紹介します。

イランとサウジアラビアの国交断絶

イランの首都テヘランにあるサウジアラビア大使館が襲撃されたことを受けて、2016年1月4日にサウジアラビアはイランとの国交断絶を発表しました。年末から原油価格の下落によって続いていた円高局面が、この国交断絶を受けてさらに加速することになりました。

地政学的リスクの高まりは世界的リスクオフの流れとなり、投資家による円買いが続いていくきっかけともなっています。

トルコとロシアの関係悪化

2015年11月24日に発生した、トルコ軍によるロシア軍爆撃機撃墜事件によって両国の関係が急速に悪化しました。シリアをめぐる両国の複雑な関係も改めてクローズアップされ、中東情勢の混乱がますます深まっていく懸念が示されました。

イエメン・シリア情勢の不透明化

イエメンでは2015年のイスラム教シーア派の武装組織フーシがクーデターを起こしハーディー政権を崩壊に追い込みました。その後ハーディー派とフーシ派との対立構図となり、2017年現在も激しい内戦が繰り広げられています。

世界最悪の人道危機とされており、人口の3分の2以上に緊急支援が必要な状況です。

シリアでも内戦は収まる気配がなく、2011年から2017年現在も継続中です。シリア国内だけでも複数の勢力が乱立しており、シリア政府、クルド人勢力、IS、アル=ヌスラ戦線などがその主勢力となり紛争が続いています。

これらにそれぞれ加担するロシアやアメリカなど国外の勢力が参戦していることで、シリア問題はより難しくなっています

中東情勢のリスクと為替相場

中東情勢は非常に難しく当事国以外の利害も複雑に絡み合っているため、混沌とした様相を呈しています。為替の動きとしては内戦や紛争の動きに逐一反応するというよりは、これらに付随して起こりやすい原油価格の下落などに反応することが多いと言えるでしょう。

また、紛争地域がトルコやサウジアラビアのように大国であったり、内戦の規模が大きくなって国際的な影響が甚大になってくると為替相場でも深刻に受け止められることがあります。

第1次~第4次中東戦争のようにイスラエル対アラブ諸国のような構図の戦争となれば、為替相場へのインパクトは絶大なものになるでしょう。

今後の中東情勢と為替相場

ここまでで、現在の中東情勢が非常に深刻なものであることはご理解いただけたことと思います。これを踏まえて今後の中東情勢がどのような方向に向かうのか、それに伴って為替相場にはどのような影響があるのかを考えていきましょう。

トルコ情勢の不透明化

トルコはロシアとの関係は正常化に向かっていますが、エルドアン政権の宗教色の強い政治に対して民衆の不満がくすぶっている現状があります。

2016年8月には軍部によるクーデターがあり、エルドアン大統領は反体制派への締め付けを弾圧レベルで強化してきました。市民の不満は高まっており、同じようなクーデターが起こる可能性は十分にあります。

政情不安はトルコリラにも表れており、不安定な値動きが続いています。

また、ISが壊滅した後のクルド人との関係性も懸念があります。現在は共通の敵ISがいますので表立った争いはありませんが、ISがいなくなった後に一気に対立が激化することも考えられ、これがトルコ国内の混乱につながることも十分にあり得るでしょう。

サウジアラビアとイランの政情不安

サウジアラビアでは第6代国王崩御に伴い2015年に新国王が就任し、皇太子・副皇太子も新たに叙任され指導者の急速な世代交代が進んでいます。これに伴い王室内で熾烈な権力闘争が繰り広げられており、欧米諸国との関係など外交方針の転換もささやかれています。

また、イランでも2017年6月に大統領選挙が予定されており、現在の新欧米派の政権が負けて宗教色の強い政権が成立された場合、周辺国との関係性が大きく変更されることもあり得ます。

最悪のパターンは両国の関係がさらに悪化し、シーア派対スンニ派の代理戦争となってアラブ各国が参戦してしまうことです。こうなると第5次中東戦争となってしまう可能性もあり、為替相場はパニックに陥るでしょう。

駐イスラエルアメリカ大使館の移転

トランプ大統領の政策で最も恐ろしいものが、アメリカ大使館のエルサレム移転です。長年アメリカ大統領令で移転を拒否してきたこの事案が実現することになれば、周辺のアラブ諸国が黙っていません。

これは中東の長きに渡るイスラエル対アラブ諸国の対立構図を最も象徴する事態であり、第5次中東戦争は避けられない情勢となるでしょう。

当然為替相場へのインパクトは絶大で、安全資産の円へマネーが大量に流れ込んでくることは目に見えています。

上記に加えて、シリアとイエメンの内戦がどう転んでいくか分からないこともあり、現在の中東情勢は本当に難しい局面を迎えています。2017年はますます混沌とする懸念が持たれており、トレードの際は急激な価格変動に常に備えておく必要があります。

取り分け、トルコリラなどのリスク通貨をトレードしている人は十分に気を引き締めてトレードをするようにしましょう。

まとめ

ここまで、過去と現在の中東情勢が為替にもたらした影響と、今後の為替レートがどのように推移していくのかについてご紹介してきました。

元々複雑な問題が絡み合った中東は近年になってより難しくなり、地政学的リスクは最大限に高まっています。第5次中東戦争クラスの重大な事象が発生すれば、間違いなくリスクオフの流れとなり円高局面がやってくるでしょう。

事前に備えをしていれば、ある程度の利益をとることも可能かと思います。

ただ現安倍政権の方針が基本的には円安路線であるため、加熱した円高には日銀による市場介入が確実にあります。ここの見極めをしながら円買いを進めていくことができれば、資産を増やしていくことができるでしょう。

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