スワップポイントの禁じ手アービトラージを徹底解説
安定して利益を得やすいことで人気のスワップトレード。実はさらに安全に利益を得られる方法があるのをご存知でしょうか。それがアービトラージと呼ばれる取引手法です。この手法を使えば、為替レートの変動をほぼ気にせずに利益を得続けることができます。
この記事ではスワップ運用の中で最も安全な手法であるアービトラージについて、その特徴や取引方法をご紹介していきます。とにかくリスクの少ないスワップ運用手法に興味のある人は是非参考にしてみてください。
アービトラージとは?
アービトラージとは裁定取引と呼ばれるもので、同一の性格を持つ2商品間で一時的に発生した金利差や価格差を利用することで利ざやを稼ぐ方法です。
よく知られている例としては、株価指数等の「現物価格」と「先物価格」間で発生した価格差を利用したやり方でしょう。
これは、理論価格よりも高い割高な先物を売却する「裁定買い」と理論価格よりも低い割安な先物を購入する「裁定売り」があり、両者の価格差がなくなってきたところでそれぞれの反対売買を実行して利益を得る手法です。
理論上はリスクがなく勝率100%の手法で、アービトラージ専門で利益を得ているトレーダーも多くいます。
また、アービトラージは市場の歪みを狙ったトレードですので、この手法で市場に資金が流れれば流れるほど歪みは是正されていきます。そのため、市場の適正価格形成に寄与しているという側面もあるのです。
アービトラージの注意点
理論上、アービトラージはノーリスクの手法なのですが、収益を得ていくには高い専門性が必要と言われています。それはこの手法にも穴があるからです。
たとえば、利ざやがさほど大きくなく、利ざやが開く確率も小さいために利益額としては期待値が低いことがまず挙げられます。また、約定しなかったりスリッページが発生してしまうなど、不安定な要素が多いことも理由の一つです。
そのため、市場で生き残っていくためには高い専門性とノウハウが必要であり、素人が簡単に利益を得られるものではないということは認識しておかなければなりません。
スワップポイントの裁定取引とは
スワップポイントでのアービトラージは、ご想像の通り業者間のスワップポイント差を利用します。一方の業者で運用通貨ペアの買い注文、他方の業者では同通貨ペアの売り注文を出します。
この両建てで為替差益を相殺してしまい、業者間のスワップポイント差がそのまま利益として受け取れるという構図です。つまり、為替変動のリスクを極小化して、スワップポイントが受け取れるということです。
方法をおさらいすると【同通貨ペアで同数量の「買い」と「売り」ポジション】を【異なるFX業者でそれぞれ保有(両建て)】するとなります。この方法で、より安全にスワップポイントを得ることができるのです。
スワップポイントのアービトラージ手法
アービトラージ手法についてはイメージがつかめたかと思います。スワップポイントでアービトラージが成立するには、買いのスワップポイントの「プラス」が売りのスワップポイントの「マイナス」を上回らなければなりません。
ここで、1つ疑問が出てくると思います。「FX業者は売りスワップの方をかなり多くマイナスとして設定しているのではないか?」と。実はそうではない業者が1つあります。それが「DMMFX」です。
この業者は買いスワップが安いためあまりメリットがないのですが、逆に売りスワップも安いため(買いスワップと同ポイント)、アービトラージを成立させやすいという特徴があるのです。
この特徴を利用して、買いスワップの高い業者と売りスワップの安い業者のスワップポイント差分で利ざやを稼いでいきます。ここでは、買いスワップは平均してスワップポイントが高い「GMOクリック証券」、売りスワップは先述した「DMMFX」の組み合わせでアービトラージを実践してみます。通貨ペアは南アフリカランド/円を使います。
1例として3月1日から17日までに付与されたスワップポイントで見てみましょう。スワップポイントhあ10万通貨購入した場合の数値となっています。
日付 | 買いスワップ | 売りスワップ |
3月1日 | 170 | -170 |
3月2日 | 170 | -170 |
3月3日 | 170 | -130 |
3月4日 | 480 | -390 |
3月5日 | 480 | -390 |
3月6日 | 480 | -390 |
3月7日 | 160 | -130 |
3月8日 | 160 | -130 |
3月9日 | 160 | -130 |
3月10日 | 160 | -130 |
3月11日 | 480 | -390 |
3月12日 | 480 | -390 |
3月13日 | 480 | -390 |
3月14日 | 160 | -130 |
3月15日 | 160 | -160 |
3月16日 | 170 | -160 |
3月17日 | 170 | -160 |
合計 | 4690 | -3940 |
日によってスワップポイントに差はありますが、基本的には買いのスワップポイントが売りのスワップポイントを上回っていることがお分かりいただけるでしょう。もちろん、売りのスワップポイントが上回ることもありますが、月間トータルではまず買いが上回ります。年間トータルでも当然買いが上回りますので、この差分のスワップポイントが利益としてもらえるというわけです。
ただ、もらえる資金としては大きくなく10万通貨ずつを2つの業者でそれぞれ購入した場合で、年間1万円~2万円程度の利益です。両建てで為替変動のリスクが少ないことからレバレッジ10倍で運用すると仮定して、必要証拠金は17万円(1南アランド8.5円で計算)、その場合の利回りはおよそ5~12%というところです。
ただ、為替変動のリスクをほとんど無力化してこの利回りを得られるというのは、かなり安定した投資法と言えるのではないでしょうか。リスクを極小化した上で取引ができ、トレードの実践経験も積めるため初心者の人にもおすすめできる取引手法と言えるでしょう。
アービトラージの注意点
スワップポイントのアービトラージは良いこと尽くめに見える投資法ですが、注意すべき点もあります。
買いと売り両方でポジションを保有するため、値が大きく動いたときに片方のポジションがロスカットに合う可能性があるということです。ロスカットされると再度ポジションを持つために売買手数料を払う必要がありますので、何度もロスカットされると手数料がかさんできます。この事態を極力回避するために、評価損益がマイナスになっている口座に資金移動することをおすすめします。
たとえば、ロスカットラインが1円程度であれば、購入時から0.6円程度動いた時点でプラスの口座からマイナスの口座に資金を移してロスカットを未然に防ぐのです。この方法で資金管理をしていれば、理論上はリスクゼロでスワップポイント差分を受け取り続けることができるでしょう。
為替差益を狙うトレードと比較すると大きな利益を稼ぐのは難しいということがあり、ある程度の資金力はあった方が良いかもしれません。リスクが限りなく低い投資法ですので、資金力がある人にはかなりおすすめできる手法です。
ただし、スワップポイントの値の変動には注意しておかなければなりません。ここ5年くらいは利益を得られる水準が続いていますが、今後DMMFXが方針変更して売りスワップポイントを高く設定してくる可能性もゼロではありません。利ざやを稼ぐ環境が乏しくなってしまった場合は、引き上げを検討するようにしましょう。
ですので、現在の環境が変わらないのであれば穴の少ない投資法と言えます。
まとめ
ここまで、スワップ運用の中で最も安全な手法であるアービトラージについて、その特徴や取引方法をご紹介してきました。
スワップポイントの差分を活用したこのような手法があることに驚いた人も多いのではないでしょうか。アービトラージは株式相場だけではなく、為替相場でも十分に活用することができるのです。
現在のDMMFXの売りスワップの方針が変わらなければ、安全でリスクが極小化された取引を続けることができるでしょう。方法は非常に簡単ですので、初心者の人も実践を積みながら安心してトレードをすることができるでしょう。
とにかくリスクの少ないトレードをしてみたいは、一度チャレンジしてみることをおすすめします。
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